
「何をそんなに急いでるんだい?・・・」
僕は、空を見上げてそう呟いた。
冬、北国の太陽はとても恥ずかしがり屋で、気が短い。おまけに高い場所が嫌いなようだ。
遅い遅い朝陽がようやく昇り、やっと僕達を暖め始めたばかりだと言うのに・・・恥ずかしがりの彼は、山の向こうにチラッと顔を出しただけで、あまり高い場所には昇りたがらない。
北極海からの冷たくて意地悪な風にいじめられるのか、黒くて分厚い雪雲がくすぐったいのか、彼は低い位置を駆け足で通り過ぎ、もう反対側の山に隠れようとしている。
時計の針は、まだ2時だ。
森の木々が口々に文句を言い始めた・・・
「一週間も隠れてて、一体どこで何をしてたんだい」
「僕達は、ずっと寒い所で我慢してたんだぞ」
「久しぶりに顔を出したんだ、もう少し暖めておくれよ」
「雪が重くて、もう疲れたよ・・・早く溶かしてくれよ」
急ぎ足の彼は、すまなさそうにこう言った・・・
「ごめんね、でも山の向こうでもみんなが待ってるから、ゆっくりしてられないんだよ。でもね、その代わりに・・・」
彼はそう言うと、ぴかっと強く輝き、寂しかった雪原一杯に、綺麗な影絵を描いてくれた。
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