Photo breeze from CANADA (PhotoOfficeFujie)

カナダ・ブリティッシュコロンビア州・ミッション在住のカメラマン《藤江幸宏》が、バンクーバーの情報サイト「メイプルタウン」に掲載の写真を中心に、フォト・ブログとして毎月1日と15日にアップロード。

モーニング・クラウド

        モーニング・クラウド



風景写真の撮影は、日の出、日の入りの前後数時間が勝負・・・当然、朝は早く、まだ暗いうちから動き出さねばならない。

真っ暗な空を睨み、星の見え方でその日の朝の天気を予想する。

だが、カナダやアメリカの西部海岸地域には「モーニング・クラウド」と言う言葉がある。

海上と陸地での熱伝導の違い、北太平洋の冷たい海流、様々な要素が絡み合うのだろうが・・・早い話が、早朝に海から流れ込む、低く垂れ込めた霧のような雲の事をこう呼ぶのだ。
雨雲等とは違いこの雲は、太陽が昇り気温が上昇してくると自然と消えてしまうので、つまり《朝の雲=モーニング・クラウド》と呼ばれているそうだ。

言葉だけを聞いていると、なんだか少しお洒落な響きもするが・・・これが撮影となると、かなり厄介な相手になる。

天気は良いはずなのに、空は全く見えず辺りは薄暗く、光や時間の流れがまるで読めない。
では、撮影を中止にすれば良いのかと言うと、この判断がまた難しい。なぜなら、この雲は朝の雲、突然消えてなくなるモーニング・クラウドだからだ。


僕は長年続けて来た撮影の勘で、雲が晴れた場合の辺りの様子を予想しながら森の中を歩き、ある地点でカメラを構えて待つ事にした。

しーんっと静まり返った森の中に、遥か彼方からかすかに波の砕け散る音だけが響いている。

徐々に雲の厚みが削られていくと、それに比例して雲の流れがはっきり目視出来るようになっていく。

「よしっ・・・晴れ間は近い」

僕は心の中でそう叫び、カメラを持つ手に自然と力が入る。


サッと開けた雲間から朝の光が差し込んで来ると、それまで眠っていた森全体が息を吹き返したように輝き始める。


なんとも言えない神秘的な空間を演出してくれるモーニング・クラウド。

この朝の不思議な時間帯が、僕はたまらなく気に入っている。





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日差し

        日差し



ふ〜っ・・・

僕は天を見上げ、恨めしそうに息を吐き出した。

奴の日差しは凄まじく強烈で、部外者である僕に対しても全く容赦なく照り付けてくる。

360度見回してみても、どこにも日陰なんてありゃしない。

在るのは、ただカラカラに乾いた砂と岩の世界だけだ。

申し訳程度にわずかに浮かんだ雲は、とても奴の力を遮るほどの器ではない。



何処までも続く荒野を進む・・・

暑さはもうほとんど感じない。

じりじりと照り付ける日差しは、暑さではなく強烈な痛みを容赦なく照り付けてくる。



足の裏が、燃えるように熱い。

熱せられた砂の上を歩いている気分は、もうほとんどフライパンの上と変わらない。

下手に地面に座り込むと、火傷をしてしまう。

今はただもうろうとする意識の中で、歩き続けるしかない。




僕は立ち止まり、もう一度天を見上げた。

「お前の力は、もう十分にわかったよ・・・」

僕は焼き付けられた腕でカメラを構え、焼き付けられた岩山の姿と奴の力強さを、しっかりフィルムに焼き付けておく事にした。




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