
ふ〜っ・・・
大きくため息をつき、ゆっくりと腰を下す。
重たい機材を抱え、何時間も山道を歩いた後に見つけた高原の花畑。
僕は必ず腰を下し、しばらくの間のんびりと辺りを見渡してみる。
「歩き疲れたから?」
・・・当然それも一つの理由だが、それだけじゃない。
普段の自分から目線を変えてみるんだ・・・・時には大の字になって寝転がり、流れていく雲を見上げてみるのも悪くない。
それまで見えなかった物が見え、感じなかった物がひしひしと伝わってくる。
草花と同化し、体中が大地に溶け込んで行くような、不思議な感覚に包まれる。
立っていた時の目線からでは全く気付かなかった足元の小さな草花、水滴、昆虫、石・・・見過ごしてしまいそうな些細な風景の中から、どんどん新しい発見が飛び込んで来る。
僕は植物園やチユーリップフェスティバル等へもよく出かけて行く。
だがそこには、足を止め、腰を屈めて小さな花一輪を覗き込もうとする人はほとんどいない。
人の波に流され、予め用意されたピクチャースポットで記念写真を撮ると、また足早に次の場所へと移動を繰り返す。
多くの人は、《植物園》を見にやって来て、《花畑》だけを見て帰って行く。
家の中で、一輪挿しに生けられた花には、「綺麗だね〜」「この花素敵ね〜」と声をかけるのに、大きな花畑の中で、足元に咲く小さな花一輪を覗き込む人はほとんどいない。
写真家の仕事の一つは、そんな小さな一輪の花を、見つけてあげることかもしれない・・・
テーマ:写真にコトバをのせて - ジャンル:写真

