「何をそんなに急いでるんだい?・・・」
僕は、空を見上げてそう呟いた。
冬、北国の太陽はとても恥ずかしがり屋で、気が短い。おまけに高い場所が嫌いなようだ。
遅い遅い朝陽がようやく昇り、やっと僕達を暖め始めたばかりだと言うのに・・・恥ずかしがりの彼は、山の向こうにチラッと顔を出しただけで、あまり高い場所には昇りたがらない。
北極海からの冷たくて意地悪な風にいじめられるのか、黒くて分厚い雪雲がくすぐったいのか、彼は低い位置を駆け足で通り過ぎ、もう反対側の山に隠れようとしている。
時計の針は、まだ2時だ。
森の木々が口々に文句を言い始めた・・・
「一週間も隠れてて、一体どこで何をしてたんだい」
「僕達は、ずっと寒い所で我慢してたんだぞ」
「久しぶりに顔を出したんだ、もう少し暖めておくれよ」
「雪が重くて、もう疲れたよ・・・早く溶かしてくれよ」
急ぎ足の彼は、すまなさそうにこう言った・・・
「ごめんね、でも山の向こうでもみんなが待ってるから、ゆっくりしてられないんだよ。でもね、その代わりに・・・」
彼はそう言うと、ぴかっと強く輝き、寂しかった雪原一杯に、綺麗な影絵を描いてくれた。
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三日間降り続いた雪が、ようやくやんだ。
ひらひら雪が舞うなんて・・・そんな可愛いものじゃない。
びゅーびゅー風が吹いて、吹雪が強まった日には、ほんの5メートル先だって見えやしない。
暗くて、寒くて、心細くって・・・そのまま凍り付いてしまいそうな不安な気持ちを、風と一緒に吹き付けて来る。
そんな時は、ただじっと待つしかない。
でも、風がやんだ。
ようやく雪もやんだ。
しばらくして雲も消えた。
待っていた太陽が戻って来た。
僕は急いでカメラを取り出した。
岩陰をそっと覗き込むと、ふかふかの雪が割れ、ぴょこんっ・・・と小さな枝が顔を出した。
枝は体を少し揺らして雪を払い、それから短く一つ伸びをした。
この枝がもししゃべれたら、一体何て言うんだろう?
「寒かった」・・・?
「重たかった」・・・?
それとも「淋しかった」・・・?
いや、「僕も一緒に散歩したい」って言うんじゃないだろうか?・・・ふかふかの雪の上を。
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新年あけましておめでとうございます。
本年も、フォトブログPhoto Breeze from CANADA ならびにPhotoOfficeFujie藤江幸宏写真事務所を宜しくお願い致します。
朝陽・・・
雪山に登る朝陽を、あなたは見た事があるだろうか?
ひっそりと静まり返った森の中、自分以外、他に何の生命も感じられない・・・
川も木も岩も、何もかもが凍り付いたマイナス40度の朝。
北国の遅い遅い日の出を、ひとりポツンと待ち続けていると、自分もこのまま凍りついていきそうな、そんな恐怖さえ感じる。
ようやく徐々に明るみを浴びて来た東の空を見上げ、フーッとため息をつくと、今吐いたばかりの息が、カキーンッと直ぐに凍って落ちて来そうな気さえする。
朝陽が待ち遠しい・・・
都会の生活で、これほど陽の光りが恋しいと感じる事があるだろうか?これほど陽の光りがありがたいと感じる事があるだろうか?
山の向こうから、寝ぼすけの冬の日がゆっくりと顔を出す。
そして早口でこう言った・・・
「おいっ、みんな起きろよ!・・・いつまでも凍ったふりしてないで、ちゃんと働けよ!」
太陽のその声を合図に、凍り付いていた何もかもがキラキラと光り輝きだす。
ほんの少し前まで、何の生命も感じられず、全てが凍り付いていた死の森が、今はあちらこちらで自己主張を開始した。
分厚い氷で覆われた川も、その下ではしっかり流れ続けている。
木々の細い枝も、雪の重みに耐えてちゃんと頑張っている。
森の合間には、夜の間に付けられたコヨーテの足跡がはっきりと残り、その足跡を覗き込むと、小さな小さな雪の一粒一粒までが、皆違う形をし、皆それぞれに光り輝いている。
こんな小さな発見が沢山詰まっている冬の朝が、僕は何故か凄く好きだ。
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